円安すごすぎですの。
1ドル144円で、まだ下がりそうらしくて。もはや現実感が無いですの。

去年の今日は110円だったので、 そのときと比べると、米ドルで買うあらゆるものが約31%値上がりしてる計算ですの。

円安は他国から見た円の価値が減っている状態ですの。自分の価値を貶めることはすぐ出来ても、認めてもらうのは難しいのと同じで、円高になる分にはどうとでもなるけれど、円安が行き過ぎた場合は円高ほど簡単には対処できないので、これからどうするのかある意味見ものですの。

日本は輸出企業が多いから円高は悪、無理矢理にでも円安にすべき、円安にすれば景気が良くなって全体が良くなるんだ。と言っていた、もしくはまだ言っている人たちが過ちを認めて反省することは未来永劫無いと思うけれど、少なくともこのまま円安に歯止めがかからなければ、それが過ちであったことだけは現実として現れてくると思いますの。

ただ、どうしようも無い政権が致命的な失敗をするのは、見限られて退場してくれる可能性が高まる意味では歓迎なのですけれど、その失敗の泥をかぶるのは常に国民だということを考えると、シンプルに嫌すぎですの。

円安が進むと致命的なことになる理由は、少なくとも日本ではトリクルダウンは嘘で、むしろ、その逆が正解だからですの。

お金持ちがなぜお金持ちかといえば、重力のようにお金がそこに集まっていくからですの。労働者のように、都度、労働力の対価としてお金を得るのではなく、構造的に常にお金を吸い上げられる体制を作ったからお金持ちなのですの。

お金持ちは、大きなお金を使うことはあっても、それはより大きなリターンを見込んだ投資であって、けして資産は減らさない。純粋な楽しみのための消費もするけれど、豪遊しているように見えて、資産割合で見れば庶民がファミレスに行く程度のお金しか使わないし、使わずに済む。

一方で庶民は、労働力と時間を売って得たお金の大半を、お金持ちが売ってる商品に費やして毎日を過ごす。

こんな構図で、かつ、政府が富の再分配に消極的な社会で、円安で輸出企業が儲かったところで、庶民が円安のデメリットをカバー出来るほどのメリットを得ることは無く、結果、起こるのはさらなる格差拡大だけですの。

さらに言えば、そこで肥え太るのが輸出企業というのも最悪の組み合わせですの。

自国内での販売が中心の企業なら、なにかで荒稼ぎして大儲け出来る状態になったとしても、さすがに自国民が貧しくなりすぎて購買力が落ちれば結局は自社の利益も落ちるので、ある程度まじめに国内、国民の生活を考える余地があって、共存共栄という方向に行きやすいですの。

でもそれが輸出企業だと、極論、自社に関わらない自国民がどんな悲惨な生活をしていようと、商品が作れて輸出先で商品が売れさえすれば問題ないので、国内を自国民が死に絶えるレベルの環境にする政策だって平気で支持出来るし、なんなら要求出来るのですの。

輸出ほどでは無いけれど、たぶん外国人向けの観光産業なんかも基本的に同じですの。自社の関係者に少し加えて、観光地の運営やそこに至るまでのアクセスさえ無事なら、という条件にはなるけれど、やっぱりあとはどうなっていても儲けには影響が出ない構造ですの。

外国人にものを売るなというわけでは全然ないし、きちんと税金を取って再分配するならなんら問題は無いのですけれど、再分配しないせいで国民が貧しくなって、国民が貧しくなってものが売れないから外国人に売ろうとなって、外国人に売るための便宜ばかり図るから国民がさらに貧しくなって、というのは悪循環としか言いようがないですの。

ついでに言えばこの悪循環には続きがあって、そうやって貧しい国民ばかりの国になると、生きるだけで精一杯過ぎて、勉強してスキルを付けたり、ビジョンを持って起業したりということが出来る人が少なくなって、国自体の活気や地力がどんどん落ちていきますの。

そして、国として力が弱くなっていけば、円安はさらに進むのですの。

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