「だまってトイレをつまらせろ」?――朝日新聞政治部次長の奇妙なコラム
http://blogos.com/article/165015/

また朝日新聞がやってしまったのかとおもったら。
これは、BLOGOSの人の反論のほうが勉強不足かなと思いますの。


まず、元のトイレの話についていえば、
トイレを維持管理する責任は会社にあるので、トイレが壊れて困るのは会社ですの。

その上で、  
ちり紙の用意について、経営者が取れる合理的な選択肢は2つ。

【ちり紙と修理費のどちらを取るかのトレードオフ】
 A:ちり紙をきちんと完備して、使ってもらうことで、トイレの修理費を減らす
 B:想定外の紙を使われてトイレの修理費が増えることを覚悟で、ちり紙を用意しない

普通はAを選ぶと思いますの。
でも、特殊な状況で、ちり紙のコストがトイレの修理費より高くつくのなら、Bだってまあ、ありですの。(*1)

でも、頭の悪い経営者がよく選んでしまう非合理的な選択肢が、Cですの。
たぶん、例題の会社が選んだのもこれ。

【ちり紙と修理費を両方取ろうとする(善意からの搾取)】
 C:ちり紙は用意しないが、使う人がまともな紙を使ってくれるのでトイレの修理費は増えない


要するに、虫がよすぎるというか。
トレードオフの関係にあるものを両方取ろうとするのは、無理と言うものですの。

新聞紙を代わりに使ってトイレを詰まらせるのを悪だと言う人は、いつかこういう選択をしてしまわないように気をつけて欲しいですの。
そもそもの原因は、経営者がちり紙コストを従業員に押し付けたことにあって、従業員が「紙が無かったから適当なものを使った」というのは、十分に合理的な行動だからですの。


また、この話を会社と従業員の世界だけでなく、一般の話に広げるとどうなるかと言えば、

秩序によって多くの恩恵を受けている人が…言い換えれば、秩序が崩れるととても困る人たちが、そうでない人に向かって善意による無償の秩序維持を期待するのは馬鹿げている。

という話ですの。

富や権力を握っている人と、そうでない人の関係はもちろん、
もっと細かいところでも、

ものすごく重要な仕事をしてるのに冷遇されてる人とか、家のこと何も出来ない旦那に威張り散らされる奥さんとか、そういうのは一度、ぽーんと長い有給をとったり、実家に帰ってしまえばいいと。

そうすると、もちろん仕事は回らなくなるし、旦那も途方に暮れるかもしれないけれど、気にする道理はないですの。それは向こうが自分でなんとかすべきことだから。大事にされているならともかく、喧嘩を売ってきた相手に対して、いつまでも親切・従順なコマでいる必要はないですの。

それが「だまってトイレをつまらせろ。ぼくらはみんな生きている。」ということだと思いますの。


P.S.
BLOGOSのページ、さすがに批判のコメントがいっぱいついてますのー。と思ってコメント欄ひらいたら、賛成意見だらけで吹きましたの。
どちらかというと炎上してるイメージだったので、すごくびっくり。


*1)
ちり紙の価格が異様に高いとか、近所にトイレ修理が趣味のおじさんがいっぱい住んでて、いつでもすぐ無料で直してくれるとか