集団的自衛権の行使容認が日本を平和にする根拠
http://diamond.jp/articles/-/78832


前回は紙面の関係で書けなかった「根拠」を、さあ書くよっていう記事だそうですの。
国際関係の理論と、すこし歴史的な話も入って来て、おもしろかったですの。なるほどなるほど。

いい記事なのかなと思いましたの。結局、根拠が書いてないことを除けば。

記事のコメント欄でも言われてるけど、中国が非民主主義の国だから危ない、というのと、集団的自衛権で日米同盟を強化すれば安全になるというのは、ぜんぜん別次元の話ですの。

この人じぶんで言ってるけど、「中国は一貫して民主国家ではなかった」その通りですの。だからこそ、なんでいま集団的自衛権なの? という話ですの。

この人の持ってきたグラフを見ると、アジア諸国は着々と民主化の波に乗っていることがわかりますの。それを、この人の持ってきた理論(民主化は戦争のリスクを下げる)に当てはめれば、着々と平和になってきていることがわかりますの。

つまり、「集団的自衛権でもたらされるメリットは薄く、少なくとも緊急の課題ではない」という影の主張が読み取れますの。(素直に言えばいいのに。)

一方で、集団的自衛権のデメリットのほう。これは記事には何も書いてなかったですの。

何が危ないかといえば、「アジアに限らない、世界中のいろんな国々と戦争するはめになるかもしれない」というところですの。アメリカがアジアだけ見てるわけでは無い以上、アメリカの戦争に手を貸すと言うのはそういうことですの。

世界規模のリスクと天秤にかけるのが、対中国の微妙なメリットでは割に合いませんの。


それで、ここまではよくある話なので、あえて取り上げるほどのこともなかったのですけど、最後の段落の、この部分が気になったのですの。
なお、日本の憲法学者が安保法を違憲と言うが、彼らはこうした定量的な国際政治・関係論を知らないのだろう。(中略)国際常識を知らない。国内で立憲主義を主張するより、中国に立憲主義を説いて民主化するように説得した方がいいだろう。
国際関係の前には、自国の憲法はどうでもいい。そういうふうに聞こえますの。

「立憲主義を説いて民主化」と、この人がじぶんで言ってるように、憲法は民主主義を維持するために必要な道具ですの。そのときどきの都合で憲法を曲げることが許されるのなら、その国は民主主義から遠のいていきますの。

簡単にいえば、「中国がやばい」「緊急事態だから細かいことは気にしなくていい」を振りかざしていると、日本自体が中国のような国になりますの。

それがお望みならいいけど、やっぱりこの人じぶんでこう言ってるので、
両方ともに民主主義国だと滅多に戦争しないという意味で、古典的な民主的平和論になる。一方の国が非民主主義だと、戦争のリスクは高まり、双方ともに非民主主義国なら、戦争のリスクはさらに高まる。
お望みでは無いのではないかしらと、思うのですの。

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